成長日記

青森県青森市荒川小学校あおもりけん あおもりしあらかわしょうがっこう

青森での陸養プロジェクトを終えて、荒川小の5年生の担任、成田先生から熱いメッセージをいただきました!


9月からスタートした「陸養プロジェクト」。8㎝の10匹達と41人の子供達と、当初はどうなるのか全く予想もつきませんでした。   毎日の餌やり、水換え、水温チェック、水の濁りや匂い、物理濾過と生物濾過の状態チェック、勿論ひらめさん達の様子なども毎日記録用紙に書き込み、とにかく無我夢中で取り組んできました。なかには、その日当番であっても忘れてやらない子もいましたが、「面倒だ」とか「汚い・臭いから嫌だ」と、いう子は1人もいなくとても真剣に取り組んでいました。そんな日々の取り組みから、責任感や仲間との連帯感が養われてきた様に感じます。

当初は食べる人と食べない人の人数がおよそ半分。食べる人は「ひらめは高級魚だから食べよう」「お刺身がいいね」「たくさん食べられる様に大きくしよう」。食べない人は「私たちが育ててるんだから可哀想だよ」「仲間を食べるわけにはいかない」「別にどっちでもいいや」という意見が出てました。それが1ヶ月経ち2ヶ月経ち、ひらめさん達もどんどん大きくなってくるし、何よりも飼育の時のひらめさん達の反応が良いのです。つまりひらめさん達は、子供達に慣れてきたようなのです。もちろん私もいっしょに取り組みましたが、大人の私でも「可愛いなぁ」と思ってしまうです。特に餌を食べたがっているひらめさんは、頭を上げて餌が来るのをじっとまっています。餌がきたら凄いスピードで、パクっと一飲み。食べられなかったひらめさんは、体色を黒くして悔しがっています。そんな仕草をみたら、当然子供たちもメロメロです。
そんな事もあり、冬休み前頃には、ほとんどの子供達が「食べない」いや「食べられない」に変わってきたのです。冬休み中もできる限り飼育を頑張りました。そんな子供達には「命って?」「食べるって?」という思いが徐々に深まってきた様です。1人勉強にもひらめさん達の事を書いてくる子供も増えてきました。

最後の最後まで「食べない」という子が3名ほどいました。その子ども達は、普段自分の考えを出す事が苦手な子でしたが、最後まで自分の考えをもって判断してました。これもまた、大きな成長です。
「命の大切さ」「食の大切さ」「私たちは生命をいただいて生かされている」「いただきます」「ごちそうさまでした」これらの全ての言葉の本当の意味を子供達はひらめさん達から学んだ様な気がします。
また、職人姿の齋藤さんを目の当たりにした子供達のうち、男子10人程が「将来、自分も板前職人さんになってみたい」と、目をキラッキラと輝かせて手を挙げる姿が見られ、「ヒラメの命の大切さ」が、こんな所にも活かされていたんだと、あらためて実感しました。なお、「食べる」が「食する」に代わっているのは子供達からの案でした。ちゃんと心を込めていただくという考えがあるという事でこれにした様です。

最後の「生命を食する」の授業は、子供達だけでなく、我々指導者にとっても、とても奥深く有意義なものでした。「生命」とか「食する」事にこんなにも寄り添い、考え、感じる事など、今後まずないだろうというほど向かい合えた時間でした。最後の一匹を齋藤さんがさばいている場面を涙をこらえながらも最後まで見ていた子もいましたが、最後、ボイルした切り身を食した時のみんなの笑顔は最高でした。私も齋藤さんも涙をこらえるのがやっとでした。
今回のプロジェクトに参加して、子供達は自分の考えをしっかりもつ事の大切さや、命を育てるという事の大変さを経験する事ができました。そこから、「責任感」「連帯感」「素直な気持ちをもつ」「本当に大切な事とは?」「選択をする」「現実を受け入れる」など、今後子供達が自分の人生を一歩ずつ歩んでいく時に必要になる「人間力」を養わせる事が出来ました。

最後になりますが、今回、私達にこのようなプロジェクトに参加させていただいた全スタッフの皆さまには、言葉にならないほどの感謝でいっぱいです。本当にありがとうございました。