成長日記

東京都渋谷区加計塚小学校とうきょうとしぶやく かけづかしょうがっこう

陸養プロジェクトを終了し、5年1組担任の鈴木先生が感想をお寄せくださいました。


 

「このままだと、いずれ魚を食べられなくなるかもしれない。」
そんなことを思ったことなど、子供たちは今までなかったと思います。

当たり前のように食べていた魚。その魚は無限にあるものではないことを知った子供たちは、今まで遠い存在であった「養殖」を初めて意識するようになりました。

実際にクエの養殖にチャレンジすることになり、子供たちは初めての体験を心待ちにしていました。その半面、実際に世話が始まると、上手くいかないことがでてきました。

最初は戸惑う場面が多かった子供たちですが、何度も世話をすることにより、どうしたらスムーズに世話ができるかを子供同士で相談し、協力し、より良い方法を考えられるようになりました。同時に、クエも子供たちに慣れてくるようになり、「かわいいな。」そんな声が聞こえるようになりました。

全員が一度も当番を投げ出すことなく世話ができたことが何より素晴らしいことだったと思います。「命」を預かっている責任感をもつことができたのだと思います。

クエを最終的に「食すのか」「逃がすのか」について議論した時は、子供たち一人一人が真剣に考え、意見を交流しました。
愛情をもって育てたからこそ、あれだけ真剣に話し合えたのだと思います。最終的には「命の大切さは食べることで学べるのではないか。」という結論に至りました。
子供たちが考え抜き、導いた結論でした。

クエの命をいただいた日。
子供たちの表情を忘れることができません。

包丁を入れられた瞬間、目をつぶる子、真っすぐにクエを見据える子、泣き出す子、顔を覆う子。
それぞれの「ありがとう」や「ごめんね」が伝わって来るものでした。
きっと、あのクエの味を将来思い出す時がくるでしょう。「命の大切さ」を、身をもって実感し、「養殖の意義」を改めて考えられた時だったと思います。

この日から、給食での「いただきます」「ごちそうさま」を以前よりも気持ちを込めて言えるようになったのが、大きな変化です。また、なるべく給食も残さないようにと頑張る様子も見られます。
この体験がここで終わるのではなく、子供たちがこれからも「海の問題」に目を向け、「命の大切さ」を考え続けてくれることを切に願います。